男性の避妊と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?避妊薬と言われると一番に思い出されるのが「コンドーム」でしょう。市販で簡単に購入できる便利な製品ですが、コンドームには失敗のリスクがあります。もしも絶対に失敗できない理由があるなら、「パイプカット」と呼ばれる手術による避妊方法があります。高確率で成功するといわれている手術方法で、一度行うと妊娠の心配をせずに性生活を楽しむことが可能となります。そんなパイプカット手術とは一体何なのか、術中や術後の痛みはあるのか、さらには新しく開発された避妊製品の紹介まで詳しく説明していきます。
パイプカットってなに?
パイプカット手術とは、精管をしばることで睾丸から精子が精液の中に送り出されるのを防ぐ、男性が受けることのできる避妊手術のことで、精管切断術ともいわれています。
ほぼ100%の確率で成功する避妊術と言われていますが、ごく稀に精管の自然再開通の報告がされたことがあります。念のため手術後に精液検査を行うと安心です。
精管には精子を運ぶ機能が備わっていて、パイプカット手術を行うとその機能を無くすことができます。精管は精子が通る通路だけではなく、精子を運ぶ機能が備わっている大切な器官です。その大切な器官を手術によって人工的に遮断してしまうので、精管は精子を正常に運ぶ機能を失うことになります。そうなれば使われなくなった精管は古びて弱りはて、二度と元のような機能を取り戻せなくなります。
こうした理由から、手術を受ける場合は絶対に子供を作らないと決めている人だけが手術を行うようにしてください。一度パイプカットの手術をすると、子供が出来る確率は限りなく低くなると考えられます。避妊手術は、女性よりも男性の方がリスクが低いですが、何度も受けることができる手術方法ではありません。そのため、よく考えて固い意志を持って決断するようにしましょう。
パイプカット手術による痛みについて
パイプカット手術による痛みは、個人差はありますが殆どないといっていいでしょう。
手術を行う前に、陰嚢(玉の入っている袋のこと)の両横に局部麻酔をしますが、この時の麻酔注射が人によっては痛いと感じる場合があります。治療はわずか40分程度と短く、治療直後でも痛みの感覚は殆どありません。その為術後すぐに帰宅することが可能です。
1針の縫合を行うだけの簡単な手術法なので、術後の抜糸の必要もないのが魅力です。パイプカット手術を受けた人で術中に痛いと訴えた患者はいませんが、術後に睾丸や下腹部に弱い痛みや違和感を訴えた方はまれにいます。耐えられない痛みでないなら問題ありませんが、もしも心配するほど痛いと感じたら、病院で再度検査を受けた方が安全です。
シャワーは手術翌日から可能となり、バスタブに浸かる入浴は手術を行った1週間後から可能となります。その際患部は出来るだけ水に濡らさないようにした方がいいです。また手術した1ヶ月後に受ける精液検査で、精子が出ないことを確認するまでは避妊する必要があります。パイプカット手術を受けたからと安心して気を抜かず、精液検査をしっかりと受けて大丈夫と判断されるまでは、性行為は控えた方が賢明です。
男性用のピルが存在する?
いま、新たな研究や開発で男性の避妊の形が大きく変わるかもしれません。
避妊と聞くと女性のイメージが真っ先に頭に浮かびますが、男性による避妊方法もしっかりと存在しています。コンドームの使用やパイプカット手術が一番有名な避妊方法ですが、とあるアメリカの霊長類研究センターの研究チームが、理想ともいえる男性用避妊薬の開発の実験に成功したといいます。開発された製品は、男性用のピルともいえるもので、コンドーム使用による手間が一切かからず、誰でも手軽に使える経口避妊薬といえます。このピルには、精子が泳ぐ能力を抑える効果が期待できるほか、精子の表面のタンパク質に作用して、精子が動く能力を制限することができるといいます。ピル一つで受精能力を大幅に抑えることができるので、手術で痛い思いをする必要がなく、術後の嫌な感覚を経験する必要もないなど画期的な製品といえます。
製品の開発には度重なる実験を行っており、実験に参加した男性のうち気分障害を起こした人は5人程度、さらに約5%の男性が試験薬を飲んで1年を過ぎても、精子の量が元に戻らなかったといいます。
いつか市場に出回り、簡単に手にすることが出来れば、悩みを抱えている多くの男性の助けになることは間違いありません。
まとめ
誰かを愛することはとても素敵なことです。また愛する人と体を重ねて愛を確かめ合う行為も、素晴らしくて美しいことです。しかし性行為を行うには注意も必要です。愛を確かめ合うだけではなく、その行為の先には相手を妊娠させる責任があるためです。今はまだ妊娠させたくない、でも性行為はしたい、そう思うのであれば男性側が積極的に避妊することが大切になります。
女性の体にばかり負担を強いるのではなく、男性側も寄り添い一緒に防ぐことが愛し合う二人としての責任です。痛い思いをさせないためにも、どんな避妊方法があり防ぐことができるのか、よく避妊方法を知っておくことがなによりも肝心です。
痛みがないまま手術が終わります